前回TOEIC力はかけ算 にて
TOEIC力とは,
TOEIC Testでスコアを取る能力
であること,そしてそれは
TOEIC力=TOEIC英語力×TOEIC試験力
と「かけ算」として表すということを書きました.
今回は,このうちの「TOEIC英語力」に関して,
TOEIC英語力はかけ算で表される
かけ算として考えることでスコアがアップする
ということを説明してみたいと思います.
TOEIC英語力はかけ算
まず,TOEIC英語力の意味です.ズバリ
TOEICでスコアを取るために必要な英語の能力
と考えます.
ここで,TOEIC英語力が対象とする「英語」とはどんなシーンで使う英語でしょうか.TOEICの運営団体のウェブサイトから読み解いてみます.
「よくある質問」によると,
Q3-1.新TOEICテストで測ろうとしている能力とはどんな能力ですか?
新TOEICテストではどのようなコミュニケーション能力が測られているのですか?
A3-1. 従来のTOEICテストと同じく一般の場面、または国際的な職場環境における英語によるコミュニケーション能力を評価します。さらに新TOEICテストでは、長い文章や情報を英語でやりとりできる能力や複数の文章の情報を関連づけて理解する能力なども測定します。また、これらの高度な能力を支える基礎的な能力(文法、語彙、音声識別能力など)もあわせて測定しています。
とあります.ですので,TOEIC英語力が対象とするのは
一般の場面、または国際的な職場環境で必要とされる英語
と考えられます.「一般の場面」が指す場面は大変幅広い解釈ができ特定するのは難しいところですが,TOEICの出題内容を元に判断すると,国際的な職場環境と近接した場面であると考えるのが合理的でしょう.例えば,観光目的で仲間と訪れた旅先で食事をしながら翌日の観光コースの相談する場面,というのは該当しないでしょうが,出張のため宿泊しているホテルのレストランでのランチョンミーティングの場面は該当します.
次に,TOEIC英語力は,下のように3つの力から成るかけ算として表現するのが,私は自分の経験からすると,しっくり来ます.
TOEIC英語力=TOEIC単語力×TOEIC発音力×TOEIC文法力
まず,なぜ「3つ」なのかというと,多すぎず少なすぎず丁度いいからです(笑).どれも英語学習を語る上での言葉としては特に目新しさはなく,誰でもその内容を思い浮かべられそうな基本的な力にそれぞれ「TOEIC」とつけました.これは上で書きましたTOEICが対象とする場面に関係することを強調しています.なお,それぞれの意味をハッキリさせようとすると,もっと紙面が必要です.別の記事として書くことにします.
次に,なぜ「かけ算」なのかというと,前回TOEIC力はかけ算 でも書いたように,右辺の3つの力のうち1つでも極端に力が低いと,それらの総合力としてのTOEIC英語力は低くなる,という意味を強調したいからです.
「かけ算」という考え方がないと陥るワナ
しかし,現実を見渡せば,このような「3要素のかけ算」の考え方,つまり「要素の総合力としての英語の能力」とは逆の考え方が蔓延しているように思えます.
「単語力」「発音力」「文法」「音読」「聞く力」「シャドーイング」「リスニング力」「リーディング力」など様々な切り口で英語力を向上させる方法が,学習書籍やインターネット,英会話学校などから喧伝されています.
そのような状況で,英語学習者たちは「じゃぁ,そんなにたくさんある中で,どれが一番いいの?」という疑問を持ちます.次に「英語をペラペラしゃべれる・スラスラ書ける・洋画は字幕なしでバリバリ分かる・TOEICはあっという間に800点超」などを実現するような唯一無二の「○○力」を意識的・無意識的にかかわらず,求めるようになるかと思います.さらに,インターネット,身近な英語学習者,通っている英会話スクールの講師など様々な情報ソースに当たって,たくさんあるうちから1つ「○○力」を選び,勉強してみます.しかし,やってみるものの実際には自分が期待するレベルの英語の能力をなかなか身につけられません.やがてこれに見切りをつけて新たな「○○力」を求めて行くでしょう.そのような英語学習者たちの行動が,次の新たな切り口の「○○力」の需要を生み,「○○力」供給者から供給され,学習者たちはそちらへなびく.勉強しては見るもののまた身につけられない.次の「○○力」を求めてさまよい歩く…
このようなワナに陥るのです.
かつての私もそうでした.「唯一無二」でないにしても,「二つの要素の和」程度に英語力を捉えていました.そして,勉強時間を割いている割にはTOEICのスコアが伸び悩んでいました.
そのときは,こんな風に考えていました.
TOEIC英語力=TOEICのリスニング力+TOEICのリーディング力
TOEICのスコアが600点台だった頃のことです.TOEIC Testはリスニングセクションとリーディングセクションから成るので当然のようにそう考えていました.
この考えをベースにして,600点から800点超を狙うために,例えば次のようなタイトルの教材を使っていました.
- TOEICテストパーフェクトリーディング
- 900点突破!TOEICテスト リスニング完全制覇
- TOEICテスト860点突破のための実戦問題504 リーディング編
大変魅力的なタイトルです(笑).「これさえマスターすれば,800点は確実だろう」という期待で勉強し始め,テキストの内容,問題と解答のほとんどを覚えるほどやり込みました.しかし,始めは点数に結びつかず600点台でした.そして,1度は700点を超えましたが,またすぐに600点台,しかも前半に逆戻り.
これらのテキストでやり続けていた1年強の間,続けていても800点は超えられないのではと薄々感じていましたが,スコアアップの新たな突破口がなかなか見つからず,惰性で続けていました.
かけ算の考え方があったからこそ実現したTOEICのスコアアップ
しかし,2003年9月のTOEIC受験の1週間前に,何気なく書店で手にした本により突破口が見つかりました.それがこのテキストです.
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現在は,2006年の出題形式の変更を受けて,こちらになりました.
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試験前の1週間にやりこんで,640点から760点へとスコアアップしました.
このときの経験を通じて「リスニング力やリーディング力という総合的な能力よりも,基礎的・要素的な力を強化することが必要なのではないか.それができればスコアアップできるのではないか」という思いを確信しました.その考えに基づき,TOEIC文法力,TOEIC発音力,TOEIC単語力と後に私が名付けた能力を次々と強化することで,760→815→900と,約1年という短期間で飛躍的なスコアアップをしました.
このように,今振り返ってみると,TOEIC英語力をかけ算としてとらえたことを起点に,基礎的・要素的な力をつけていくことでスコアアップしたのです.
次回は,今回話題にした「TOEIC文法力」について,その意味や意義・私の経験を「英文法出るとこだけ」と合わせて書いてみたいと思います.
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